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AIカメラ導入でデータの鮮度と価値が向上!商店街活性化に使えるデータが取得できた(岡山市役所様)

「GovTech Challenge OKAYAMA」を推進する岡山市

岡山市は行政が抱える社会課題・行政課題を最先端のテクノロジーや斬新なアイデアを持っているスタートアップと協業する事業「GovTech Challenge OKAYAMA」を進めています。

岡山市役所様は商業振興を目的に通行量調査を実施してきましたが、実施頻度が2年に1回、取得期間は休日・平日の計2日間と、通行量増減の分析が正確にできないという課題を抱えていました。

今回AIを搭載したエッジカメラ「IDEA counter」(以下、AIカメラ)を岡山市の商店街に設置してどのような成果があったのか、岡山市 産業観光局商工部 産業振興課 商業振興係 課長補佐 遠部明弘様、主任 中谷大祐様、創業支援・雇用推進課 スタートアップ支援係 副主査 塚原義博様にお話をお伺いました。

導入前の課題と導入理由:人の交通量データを取得できるAIカメラは少ない

(左から、塚原様、遠部様、中谷様)

――貴庁の業務内容について教えてください。

遠部様:産業振興課の商業振興係を担当しています、市内中心部の商店街を始めとして商業の振興及び活性化を目的とした数々の事業を行っています。

塚原様:創業支援・雇用推進課のスタートアップ支援係を担当しております。岡山市が抱えている社会課題や行政課題について、最先端のテクノロジーや斬新なアイデアを持っているスタートアップと岡山市の職員が協業することで、一つの課題を解決するプロジェクトを推進しています。

行政側としては課題を解決することができ、スタートアップ側には市が持つ社会実証フィールドを活用して事業実績を作っていただくようなWin-Winの関係が特徴的です。最終的には製品化、サービス化の構築まで辿り着ける取り組みを目指しています。

――今回の実証実験では通行量調査にAIカメラを活用いただきました。歩行者通行量の調査で抱えていた課題について、お伺いしてもよろしいですか?

遠部様:岡山市では昭和41年から市内の中心部59箇所で通行量調査を行ってきました。実施頻度は2年に1回、平日・休日の2回です。ただ実施頻度が2年に1回、2日間のため、例えば調査日にイベントが開催されたり、雨が降ったりすると、通行量の増減がそれによって大きく変わってしまうことや、イベントや施策などの効果分析ができないという課題を抱えていました。

データの正確性や精度という点でも課題がありました。人力で実施する場合、各箇所に休憩時も含めて人が張り付くため多くの人手が掛かることに加え、取得できるデータには限界があります。

通行量調査を点ではなく線で計測し、連続したデータの取得により従前の人力による調査では把握できなかった日毎の変化を把握することで、商業振興に有効な施策の効果分析に繋げたいという背景から、AIカメラを導入した通行量調査の実施に踏み切りました。

――サービス採択に至るまでの経緯について教えてください。

中谷様:公募をかけ、応募頂いた企業様に事業内容等をヒアリングするプロセスになります。

選定基準には技術力の高さや精度の高さを考慮しました。
クルマやモノの分析ができるAIカメラは他にもありましたが、こちらが望む項目や精度での人の通行データが分析できる会社様は他にありませんでした。あともう一つ、商店街などの屋外に取り付ける際、他社様の製品だとデータサーバーを設置現場に置く必要があったため、コンパクトで電源量も少ないという点も決め手になりました。

――導入にあたり、実際に取り組まれたことを教えてください。

遠部様:岡山市が注力している政策・施策の検証をおこないたいエリアや過去の調査との比較できる調査地点を検証し、商店街の理事長、庁内の公園関係や交通政策部門等の各部署の関係者と打ち合わせを重ねて最終的な設置場所を決めました。

中谷様:関係各所と進めていく上で、Intelligence DesignさんはAIカメラの設置箇所や設置角度に関する質問へのレスポンスが非常に早く、また都度生じる課題の解決方法も迅速にご提示頂き、本格導入に至ることができました。実証実験は3ヵ月でしたが、大変中身の濃い実験になりました。

――導入時にご苦労されたことはありますか?

遠部様:稟議を通す上では、他都市での類似事例や導入実績が非常に重要になりますが、今回のような新技術導入の場合には情報自体が少ないという点で苦労しました。

Intelligence Designさんは、AIカメラの精度に関するデータを数値で提供してくださり、どれほど優れているのかを説明する説得材料をご用意いただけました。通行量調査自体は元々実施してきたため、AIカメラの技術を活用してプラスアルファで実現できること、費用、計測の工数といった諸要素を比較する形で整理しました。

中谷様:あとはやはりAIカメラを岡山市で導入するのはおそらく初の事例で、いかにわかりやすく、具体的に資料を揃えるかが重要になりました。

AIカメラと一言でいっても幅広い商品が存在しており、ペットの監視カメラ等もAIカメラに該当します。しかし通行量調査においては、「動く人」をデータで取得する必要があるため、AIカメラのなかでもIntelligence DesignさんのAIカメラがなぜ必要なのかを説明する際、技術的な観点も踏まえて説明することが大変でした。

Intelligence Designさんが専門用語の解説書類一式をご用意いただき、AIカメラ自体の理解促進や性能等、細かい部分に関する説明もスムーズに進行できました。

――導入後に実感した効果について教えて頂いてもよろしいでしょうか?

中谷様:従来型の調査では特定の2日間だけしか取得できなかったデータが3ヵ月間連続で取得できるようになったことで、その間に起こった岡山城のリニューアルや市の施策のイベントによる人流の増減分析が簡単にできるようになりました。

今回導入したエリアの商店街さんにもデータを使用いただき、販促データや空き店舗の誘致にも活かせる「リアルなデータ」だと評価して頂いております。

遠部様:商店街の方から「こういうデータが欲しかったんだ!」というお声を実際に聞けたことが大きな手応えの一つですよね。

行政がやることの意義として、正確に比較できるデータを提供することが大きな価値になります。例えば店舗さん側でも独自にカメラを設置して自店舗前の人流調査を「点」で測ることはできますが、他の商店街エリアを含んだ「面」では取得できません。

商店街エリアの男女比や年齢といったデータを元に、店舗さんがターゲットを意識した取り組みに繋がるデータになったのが良かったことです。

中谷様:データ鮮度、データの価値が上がったのも非常に良かった点です。従来、通行量調査を実施してから結果が出るまでに1ヵ月〜2ヵ月程度掛かっていました。ところがAIカメラ導入後は、リアルタイムで生データを見ることができ、分析もリアルタイムに実施することができるようになりました。

データを活かしやすくなったのも非常に良い点です。季節的なイベント実施時に取得できるデータは、2ヵ月後にわかったとしてもデータの価値が下がってしまいます。

(商店街の活性化にデータを活かせるようになったと語る皆様)

――今後のAIカメラの活用方法について教えてください。

遠部様:従来2年に1回しか更新できなかった岡山市の通行量調査を1ヵ月単位くらいで公表していきたいと考えています。また、リアルタイムデータを関係者に提供して、イベント分析に活用いただけるように整備したいです。

過去、商店街エリアを活用した学園祭を実施したところ、ほとんど学生が来なかったことがありました。実際に訪れた人数や年齢、性別等が分かれば、実施するイベント企画にも活かすことができるはずです。詳細なデータを元に自由に分析ができるようになるので、想定外の活用方法や提案が生まれるのではという期待もあります。

中谷様:AIカメラの導入を実施している市区町村はそれほど多くは存在していません。岡山市役所の取り組みが参考になり、評価される取り組みに繋げられればと考えています。

今は岡山市の中心部が対象ですが、今後は他の市町村のデータがリアルタイムでわかるようになれば都市間競争にも活用できそうです。将来的には、「データを取得して可視化できていること」を前提に色々な意思決定が進んでいくと予想しています。

――さいごに、今後弊社に期待することについて、教えてください。

中谷様:AIカメラで取得できるデータの精度をどんどん高めていっていただきたいです。データとしては細かければ細かいほどマーケティングに活用しやすくなります。活用しやすいデータの取得に焦点が当たっていくと思います。

遠部様:データの取得以外には、データの活用方法に関する他社事例等のご提案もいただけるとより有り難いです。取得できるデータの増やし方、色々な関係者と繋いで頂き情報交換ができる場を設けていただけると、取り組みの範囲が広がると考えています。あと技術的には、設置したい箇所に自由に設置できるような電源の獲得ができると嬉しいですね。

――ありがとうございました!

※本インタビューは4月末に実施されました

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