メニュー アイコン
メニュー 閉じるアイコン

画像データをAI解析にかけ「落書きの傾向」がわかってきた(渋谷区環境整備課様)

渋谷区の環境整備課は区民の快適な生活環境の実現と街の美観を維持することを目的として、区内の建物や工作物等に描かれた落書きを消去する「落書き消去事業」を推進しています。そんな同区では、落書きのデータ収集や解析に人手や時間がかかることに課題を抱えていました。

Intelligence Design社の支援後、どのような効果や新たな発見があったのか。渋谷区環境整備課の課長青木さんと主任富澤さんにお話を聞きました。

導入前の課題と導入理由:「落書き消去」までのデータ収集と解析に労力がかかっていた

――まずは、業務内容について教えてください。

青木様:渋谷区環境整備課では、落書き消去を事業として行っています。

「落書き消去前」「落書き消去期間中」「落書き消去後」という3つの区分で撮影を行い、撮影したデータをAI解析にかけ、渋谷区独自の「落書き美化指数」を算出しています。1年間を通じて、落書き美化指数の経過を追っています。

富澤様:実務的な業務としては、区内で把握している落書きの場所や位置をもとに消去する落書きの優先度を選定したり、撮影した映像や画像をAI解析にかけたり、落書きの傾向を整理したモチーフマップの作成を行ったりしています。

(提供:渋谷区|落書き消去前の画像1。美化指数80%)
(提供:渋谷区|落書き消去期間中の画像2。美化指数100%)

――AIカメラ導入前は、具体的にどのような課題がありましたか?

富澤様:データ収集や解析に労力がかかり、問題解決のために充分な時間を使うことができていませんでした。例えば、モチーフマップの作成や落書き美化指数の算出を通じて、渋谷区内の落書きのパターンや落書きされるエリアを可視化し、犯人逮捕に結びつけられないかということを考えております。

そのようなことを実行する場合、(1)画像の撮影、(2)撮影した画像の解析、(3)分布の状況を整理という地道な作業を人力で行う必要がありますが、(1)と(2)のデータを解析するまでに、非常に人手や時間が掛かります。

青木様:私たちが目指す最終的なゴールは、全く落書きが存在しない、綺麗な街づくりです。落書き犯の行動を分析して予防対策に繋げたり、落書きされやすいスポットを特定したりといった、落書き問題を解決するための企画や施策を実施するためにも、データの整理は外部の方のお力をお借りしたいと考えておりました。

――Intelligence Design社とお取引を決めて頂いた理由について教えてください、

青木様:渋谷区はスタートアップ支援事業にも力をいれております。Intelligence Design社の技術を使えば渋谷区としては落書き消去事業をより推進することができ、両者のニーズが合致するという申し入れを頂きました。

当該事業は予算がついているため、公募の入札事案としての取り扱いになります。今期で2年目になりますが、入札で採択されております。採択においては、事業内容と成果物、事業の予算を総合的に加味して検討されており、落書きや落書きの消去を「見える化する」という、一番示しやすい方法が「AIカメラ」と相性が良かったと考えています。

Intelligence Design社の方が渋谷区の街中を移動しながら撮影し、解析をかけ、その結果を渋谷区に納品頂いています。そういった業務を渋谷が委託している取り組みになります。

支援後の効果:落書きの傾向から犯人の行動分析に繋がるようなヒントがわかってきた

――支援後の効果について教えてください。

青木様:支援前は落書きの有無に関わらず、足を運んで見に行かなければわからない状況でした。その人手が掛からなくなったのは大きなメリットです、さらにそれらを定点的に観測しようとすると非常に大変な労力がかかります。また、本当に落書きが消えているのかという活動内容を示すことができるようになった点も成果です。

富澤様:撮影した画像をアノテーション(テキストや音声、画像といったさまざまな形態のデータに、タグやメタデータを付ける作業)し、機械学習をさせたことで、落書きデータを自動的に分類し、モチーフのパターンや落書きが書かれたタイミング等から、犯人の行動分析に繋がるような傾向もわかり始めてきました。

(提供:渋谷区|モチーフマップシステムを通じて落書きエリア・場所、モチーフを管理)

――青木様はNHKからも取材を受けるなど、本事業のメディアからの注目も集めていますね。

青木様:AIカメラは主に人流等の可視化がメインになるため、プライバシーの観点から人の顔をテレビ等で公開することは難しくなります。対象物が落書きとなると肖像権を気にしなくても良いため、扱いやすいという側面もありそうです。落書きは誰から見てもやってはいけないことです。公共性が高いテーマでAIカメラを活用して、課題を解決できることを示しやすいのは良かった点ですね。

――Intelligence Design支援中の取り組みや大変だったことについて教えてください。

富澤様:実際に区内を回って落書きを遠目から撮影しても映像がはっきりしないこともあるため、画角等の調整には四苦八苦しました。そして、撮影した落書きデータをアノテーションし、どのようにAIに勉強させるかという点でも苦労しました。

別の観点としては、実証実験を行なった後、実際に事業化させるにあたり、渋谷区の企画課や財政課、渋谷区長への説明を行う際、導入したAIカメラの精度が事業として機能するのか、内部の疑問を解消するのは苦闘しました。ただ、Intelligence Design社のスピード感ある丁寧なサポートもあって、上手く進めることができたと振り返っています。

今後の活用イメージ:ステッカー対策など、街の美化につながる応用していきたい

――取得データの今後の活用イメージについて教えてください。

富澤様:モチーフマップを作成したことで、落書きの傾向から最近増えてきた落書きのパターンも可視化されつつあります。そのため、今後も様々なパターンの落書きへの消去対応を進めていきたいです。

青木様:環境整備という視点から街をみると、街中のステッカー対策とも親和性があると考えています。どのエリアや場所に貼られる傾向があるのか、そういったことを特定し、「街の美観を損ねるもの」への対応にも応用したいです。

――最後になりますが、今後弊社に期待することについて教えてください。

富澤様:撮影箇所を統一して、より正確なデータを一緒に整理していきたいです。サポート面に関しては、こちらの要望を全て汲み取って頂き、本当に感謝でいっぱいです。

青木様:AI解析にかける落書きの種類やモチーフマップをブラッシュアップさせ、より詳細で正確なデータを取得していき、落書き犯逮捕の一助になればと考えています。

――ありがとうございました!

IDEA(イデア) > 導入事例 > 自治体 > 画像データをAI解析にかけ「落書きの傾向」がわかってきた(渋谷区環境整備課様)