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AIカメラの導入により、交通調査のコストを削減し、データはよりリッチに

右/関東支社 交通政策部 次長 渡部 数樹 様 左/事業本部 社会・地域イノベーション推進室 副室長 兼 DX推進本部 AI推進室 城所 貴之 様

ー はじめに、城所様・渡部様の業務内容を教えてください。

株式会社オリエンタルコンサルタンツは、総合建設コンサルタント企業です。インフラ整備に関する調査・計画から設計・維持管理・運営の各段階で技術やサービスを提供しております。特に、橋梁や道路、交通、トンネルの分野でトップレベルの技術力を保持しており、国土交通省や自治体などをお客様として、企画・提案、計画・設計、建設・監理、運営・保全をワンストップで引き受けています。

(渡部様)

私たち交通政策部の主な業務は、車や人の流れを把握し、渋滞や事故など道路交通の課題を解決することです。渋滞を減らしてほしい、事故があったのでより安全にしてほしいというお客様のニーズに対して、どのように解消するかを提案することが我々の仕事です。もう少しマクロな視点では、都市計画や地域計画といったまちのプランニングを交通の観点から実施しています。

道路のネットワークはどうあるべきか、どのようなまちづくりをするべきか、地域をどのように活性化するかなど、車や人の移動が絡むものとなれば、我々のフィールドといったところですね。

その課題解決をするためのデータを収集する一つの手段として、Intelligence Design社のIDEAを導入しました。

ーIDEA導入のきっかけを教えてください

(渡部様)

昨年、大阪市の多車線道路の内の1車線を歩道化するというプロジェクトがありました。そのプロジェクトにおいて、駐停車する車両を計測したいというニーズがあり、そのデータを集める手段を探していた時に出会ったことがきっかけです。

営業担当の末廣さんからIDEAをご紹介いただき、使ってみようかという話になりました。

本当にタイミングが良かったと思います。

ー最初にIDEAを導入したのはどのようなプロジェクトでしたか?

(渡部様)

実際には大阪市のプロジェクトでは実導入には至らなかったのですが、最初に導入できたのは神戸の道路空間上でのイベント実施においてです。

イベントに参加している人たちの人流調査として、実験的に使いました。普段は自動車が使っている道路という空間を、その通常時の機能を一旦明け渡して、人にその場所を解放したらどのような人流になるのかということの検証です。実際には、イベント時の人流調査と、通常時の車の動きのどちらも調査を行い、比較によって効果の検証を行いました。

実はこの調査は、お客様からの依頼ではなく、弊社が自発的に実施しました。

我々の分野においては、お客様によっては、新しい技術を取り入れることに抵抗があるケースが多いのが現実です。そこで我々は、今後の知見のためにも、自主的に調査をさせて欲しいとお客様にお願いをし、IDEAを導入してその結果をお客様にご提案しようと考えました。

AIカメラは一つの有効な技術になるだろうという予測があったので、ここで投資して実績を作り、他のプロジェクトにも展開できるという気持ちがありましたね。

結果として、現在は他のプロジェクトでも使用しており、新技術導入への投資がうまくいったパターンです。

ーどのようなデータを計測し、どのように活用していますか?

(渡部様)

例えば道路上で停車している車の車種、通行台数、駐停車の時間というデータを計測しています。

神戸で計測した駐停車のデータからは、タクシーの停車が多いことが分かりました。

なぜタクシーが多いかというと、店舗の前なので、店舗から出てきたお客を乗せる為に待っているのだろうという仮説が立ちます。

また、トラックも比較的高い頻度で停車していることが分かりました。荷物を運搬するためにそこに停車しているのは、もちろんAIカメラでなくても分かります。しかし、運搬のためにどのくらいのサイズの車両が、どの程度の時間停車しているのかは分かりません。

そこで、IDEAを活用して24時間観測することによって、混雑する時間帯も分かるようになるのです。

そうすると、その混雑する時間を外せば、他の用途に道路が使えるのではないか、車道の幅を狭めて歩行者のために歩道にできるのではないか等、さらなる活用方法を提案していけるようになります。

ーその中でも、どのようなデータがより有用ですか?

(渡部様)

先ほどの駐停車時間などの滞留データも便利ですが、細かい車種区分もより有用なデータだと思っています。

車種区分は、

・救急車などの特殊車両

・トラックの大型/中型

・トレーラー

・タクシー

などの、目的別に分けられています。

従来の少ない車種区分での計測だと、例えばタクシーは普通車として区別されてしまい、計測結果から判断するのが困難でした。そこをIDEAは細かくデータを計測して、「この普通車はタクシー」という属性データを収集することができるのです。

細分化されたデータを後で足し合わせることは可能なので、最初から細やかな情報に分けて計測してくれるのはありがたいですね。

細かい情報があるからこそ、判断できる物事は多くなっていきます。

「乗用車が停まっている」という情報だけでは停車している理由は判断できませんが、「タクシーが停まっている」という情報ならお客さんを待つために停まっているのだろうと判断することができますよね。

その車両がそこに滞留する目的が分かるという意味で、この車種種別の分類はとても重要だと思っています。

ー現在はどのようなプロジェクトにIDEAを導入していますか?

(城所様)

現在3つのプロジェクトが進行中です。

ターミナル駅の駅前広場における通行者数や歩行ルート等の人流調査

高速バスターミナルにおけるバスの乗降者数の計測

地方都市部における通過車両速度の取得と注意喚起の表示

加えて、最初は導入に至らなかった大阪市での提案も、先方からの関連したニーズが発生し、引き続き動いている途中です。

ーIDEAの導入で改善された業務はありますか?

(渡部様)

弊社は調査にコストを投下しています。調査そのものもそうですし、準備や調整を含めたトータルコストはとてもかかります。そこを省力化できるというのが、IDEAカウンターのもともとの目的と理解しています。

実際、人手で行う現場はかなり大変なのです。雨が降ったら調査が延期になり、24時間暑いときでも調査をしなければならない、熱中症にならないように気を付けなければいけない等。

こういった調査は基本的に現地に人を配置して人力で行われているほか、現地に行かないまでもビデオカメラで撮影したものを人力で計測するというのが従来のやり方です。

(城所様)

ビデオカメラでの調査は、台数を数えるのもそうですが、どこに停車していた、どこを通過したとか、ビデオから動きを読み取ることもしています。

そこからデータを作って、集計・分析して、お客さんの元に「渋滞はこうやって起きています」とかをお伝えしている。

そこをどれだけ省力化するか、精度を上げるか、コストを抑えるか、といったところでIDEAは課題を解決してくれていますね。

(渡部様)

具体的に、丸一日調査をやるとしたら、人件費や経費、資材など含めて、1日あたり数十万円はかかかります。そのため、同じ1日の調査にIDEAを設置するだけとなるとコスト面ではとても助かります。

その調査をもっと長い期間継続するとなれば、人力では日数に応じたコストがかかってきます。

あとは、計測だけでなく集計というところにもお金がかかるので、人力で収集したカウント結果がすぐデータになっていればいいのですが、カウンターから書き写して、それをパソコンに入力して……という作業にもコストがかかってくるのです。

そういったことを考えると、人力に比べて、コスト感が大きく違いますね。

ー他社サービスと比べて、IDEAの良いところはどこですか?

(渡部様)

技術的にどうすれば対応できるかというところにしっかりと向き合ってくれる、提案力の高さが一番大きいです。我々が求めるデータをどうやって計測するか、こういったことはできるのかなどの相談ベースからサービスを利用できるというのは他には少ないですね。

他社のAIカメラでは、そういった応用が利かない場合が多いです。どう使いたいかなどの要望を相談しても、「うちは販売だけしています。技術は他社にあるので対応できません。」と言われてしまうケースもあります。そうなると、この手法による対応や提案はそこで止まってしまいます。

そういった課題に対して柔軟にご対応いただけるのは、IDEAの良いところですね。

(城所様)

AIカメラの領域において、完璧なパッケージでカスタマイズする必要なく使える製品はなかなかないのが実態と考えています。我々としては、このようなAIなどの技術をどう地域社会に入れ込めるかも考え、提供された製品・サービスをそのまま使うだけでなく、一緒になって改善する方法を考えていければと思っています。

カスタマイズと言えば終わりが無いのですが、その中身も含めて進化させていける技術力がIntelligence Designさんの社内にあるというのが大きいですね。

現状のIDEAカウンターそのままで使える場所もたくさんあります。ですが、技術力そのものがIntelligence Designさんの社内にあるので、こういうデータが出てくるならこういった分析・集計をすれば自治体さんにも提案できます、といった話がしやすいですね。単に物を売って終わりというところじゃないのが、Intelligence Designさんの良いところだと思います。

(渡部様)

一緒に作っていけるというのは、本当に大きな差ですね。

(城所様)

また、弊社が主体としている公共事業などの仕事は、大きなお金がかかっています。そういう意味で、1回作ってみてやっぱり駄目でしたということは許されません。そこで大事になるのが、既存の道路はどうなっているのか、誰がどのくらい使っているのかなど、解像度と確度の高いデータです。データの解像度が高く、どこのレンジにも対応できるIDEAのデータの価値は高いですね。

Intelligence DesignさんはIDEAの中身を自分たちで作っているので、「多分こういうことが起きて、こういうロジックでこういう集計がされています。」と、データをひも解いて解説してくれます。コンサルタント業をしている我々としては、アウトプットだけでなく、その過程も話ができるということがIDEAを選んだ決め手ですね。

いままで人力で高いコストがかかっていた交通量調査。それをIDEAに置き換えることによって、僕らもコストダウンして、なおかつデータがよりリッチになるのがいいですね。

ー最後に、今後IDEAに期待することを教えてください。

(渡部様)

今後はより複雑な観測ができるようになるといいかもしれないですね。カウントとかは今の技術で実現できていますが、今着目しているのは、「人の動き」の判断です。

座って本を読んでいるのか、スマホを見ているのかといった区別ができるとおもしろいですよね。

少なくとも、人の目ではできているのですから、ゆくゆくはできるようになると期待しています。

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