渋谷センター街のサイト閲覧数が100倍に。AIカメラのライブ配信で防犯強化と人流データの利活用を推進。
――渋谷センター商店街振興組合・宇田川町会の紹介
渋谷センター商店街振興組合・宇田川町会は東京・渋谷の「安全・安心きれいなまちづくり」を目指してエリアマネジメントを実施し、商店街のまちづくりを推進しています。日本有数の繁華街として知られる「渋谷センター街」になぜIDEAを採用し、どのような活用を計画しているのか。なぜIDEAを選んだのか。その理由を伺いました。
>>IDEAを活用した「渋谷センター街のライブカメラ配信」はこちら
――はじめに、土屋様の業務内容を教えていただけますか?
渋谷センター商店街振興組合の中では、広報や維持管理の業務に従事しています。また、街路灯のフラッグの広告枠の販売も行っています。フラッグは結構好評で多くの引き合いをいただいていますね。売上は商店街の維持管理費用に充てています。
――IDEAを2022年5月から導入いただいておりますが、導入のきっかけは何でしたか?
渋谷の”今現在の状態”を世界に発信しようと考えたからです。
「渋谷再開発協会」がIntelligence Design社のIDEAを採用し、渋谷駅周辺の人流調査をAIカメラで実施していることを知ったことがきっかけです。 もともと、センター商店街として、防犯活動に力を入れている側面と、商店街活性化のためにホームページのリニューアルを計画していました。その計画の中でライブカメラを設置しようとなりました。
――導入前、センター商店街ではどのような課題がありましたか?
現在もそうなのですが、もともと“渋谷”の街には悪いイメージがついていました。
最近では大規模な再開発が進み、街そのものは綺麗に変化しているものの、イメージの払拭には繋がっていませんでした。安心・安全なまちづくりを目指していく上で、“防犯”の意識は強く持っていました。
――IDEAをどのような用途で活用されていますか?
センター商店街内の3箇所にAIカメラを設置し、ホームページ上でライブ配信しています。
目的としては大きく2つあって、まずは防犯面での活用です。ライブ配信していることが広く周知されることで犯罪の抑止に繋がると考えています。次に人流データの取得です。有数の繁華街である渋谷センター街の人流データは多くの人が興味のあるデータだと思ったからです。商店街のテナントはもちろん、渋谷で事業を行う企業や観光客にとっても有益なデータだと考えています。
――導入した成果を感じられるポイントを教えてください。
期待していた防犯面では、効果があったと感じています。たとえば、過去にハロウィンイベントで発生したトラックをひっくり返すような騒動はありませんでした。渋谷区が警備に力を入れていたのも大きな要因ですが、ライブカメラによる抑止力も多少なりともあったのではないかと思います。
また、ライブ配信をしていることが徐々に周知されていったことで、センター商店街周辺で事件が発生した際には、警察への情報提供をスムーズにできるようになりました。
事件・事故だけではなく、台風や災害時の街の状況を可視化できることは、安全・安心の面でプラスに働いていると実感していますね。どこにいても、渋谷の今の状況が見える部分は非常に助かっています。
――IDEA導入後、改善されたことや効果はありましたか?
センター商店街のホームページの閲覧数には変化が見られました。ホームページ上でリアルタイムの渋谷の映像をライブ配信していて、誰でも自由にアクセスできるようになっています。
特に人が多く集まるイベント時には数字で顕著に表れていて、昨年のハロウィンの時は通常時の100倍の閲覧数になっていました。他にも渋谷ならではのイベント時には閲覧数の伸長がありますね。年末年始の時期やスポーツの国際大会の日は一気に伸びます。そういう意味ではライブカメラに興味がある人は多いと思いますし、多くの人がセンター商店街のホームページにアクセスしてくれていることはIDEAを導入した効果だと感じています。
――導入決定から稼働までの苦労はありましたか?
導入を決定した当時はコロナ禍の最中で、商店街利用者の減少が数値的にわかるデータというのは商店街としてマイナスポイントでした。
ただ、マスメディアの実際の数字を伴わない報道には割を食っていました。たとえば、人通りが少ない時間帯の様子を撮影し『コロナで商店街に人がいなくなった』と放送されてしまうと、コロナ禍で商店街が閑散としてしまったイメージを視聴者に持たれてしまいます。実際は、時間帯によっては人通りが減ったものの、夜間は逆に人が集まりやすくなったため、平均するとそこまで利用者数の変化はありませんでした。人がいない時間を切り取った部分のみを報道されてマイナスイメージを持たれてしまっていたと感じています。
それならば、実際の数字を計測して、商店街の利用状況を定量的に判断できる基準があった方がいいと考えました。なので、ライブ配信映像には、AIで計測をした“本日時点での合計通行者数”などの具体的な数値を掲載しています。
――今後、IDEAを通じて挑戦したいことや今後の展望はありますか?
人流データの活用に挑戦していきたいと考えています。当初の目的である“防犯”の側面はクリアしつつありますが、“人流データ”の活用についてはまだ挑戦できていない状況です。渋谷センター街の人流データは渋谷で事業を行う企業だけではなく、トレンドや情勢の把握にも活用できるデータだと感じており、広くニーズがあると考えています。将来的には、民間企業へデータ提供を行い、商店街への出店材料や、広告活用に活かしていきたいと考えています。
そのためには、渋谷センター街が人流データを取得していること、データ提供が可能なことを、広く認知していただく必要があると感じています。今後は、認知度向上のための施策をIntelligence Design社と共同で推進していきたいと考えております。
< 概要>
団体名:渋谷センター商店街振興組合・宇田川町会
代表者:鈴木 達治
団体拠点:東京都渋谷区
URL:https://center-gai.jp/about/promotion-association/