交通広告の価値を「数字」で証明する。AIカメラで実現した、リアルタイム人流データ活用(株式会社JR西日本コミュニケーションズ様)
JR西日本グループで交通広告媒体の企画・販売を担う株式会社JR西日本コミュニケーションズ。金沢から博多にまたがる広大なネットワークの中で、駅構内・車両・デジタルサイネージなど約1万種に及ぶ広告商材を展開しています。
同社が今回取り組んだのは、これまで「感覚」や「経験」に頼らざるを得なかった交通広告の価値を、“数字”で証明する挑戦。AIカメラによる人流計測の導入に至った背景と、その効果についてお話を伺いました。
導入前の課題:交通広告の”見えない価値”を可視化したかった
ーはじめに、岡山様の部署の役割・業務内容について教えてください。
岡山様:私たち企画戦略部は、広告媒体の直接的な販売を行う部署ではなく、「JR西日本の交通広告がどれだけの価値を持つか」をデータで示すことをミッションとしています。
広告主様に対する説明責任(アカウンタビリティを高めること)が主な役割で、現在は6名体制で、駅の人流調査や広告効果測定、各種データ整備を担っています。単に媒体を売るのではなく、「なぜこの場所が価値あるのか」を定量的に説明できる状態をつくる、それが我々の部署のミッションだと考えています。
ー導入以前はどのような課題を感じていましたか?
岡山様:テレビには視聴率、Webにはインプレッションやクリック率がありますよね。一方で私たちが販売している交通広告は、「何人に届いたのか」を明確に示す手段が長年ありませんでした。これは当社だけでなく、交通広告業界全体の共通課題だと思います。
Wi-Fiアクセスポイントを用いた人流計測も試みましたが、実数値との乖離が大きく、拡大推計に頼らざるを得ない状況であったため、弊社が求める精度でのデータ取得には至りませんでした。
最終的に、部署内で「実際の人の動きを直接捉えられるカメラしかない」という結論に至りました。
ー当社サービスIDEAの導入に至った経緯を教えてください。
岡山様:実は2020年頃、他社様でカメラ解析を試みたことがありました。ただ当時はAIの精度がまだ追いついておらず、一度は断念した経緯があります。
その後、改めて複数のベンダー様を比較検討する中で、最も重視したのは「朝夕ラッシュ時の混雑環境でも正確に人流をカウントできるか」でした。
実際の駅の混雑映像を各社に提供し、目視でカウントした正解データと照合したところ、IDEAが最も高い精度を示しました。この解析精度の高さが採用の決め手になりました。

株式会社 JR西日本コミュニケーションズ 交通メディア統括局 販売企画局 企画戦略部 岡山様・松浦様
胸を張って数字を出せる状態へ、リアルタイムデータが営業を変える
ー導入後の変化について教えてください。
岡山様:現在は大阪駅3箇所、京都駅1箇所でカメラを稼働させています。これまでクライアント様に対して、人流データを正確な形でお渡しすることができませんでしたが、今は「この期間、これだけの人が通過しました」と胸を張って提示ができる状態になりました。
また、「このデータがもらえるなら出稿したい」という声も増えており、営業面でもポジティブな影響を感じています。
ー継続的なデータ取得で変わったことはありますか?
岡山様:従来の人流調査は年1回、結果がまとまるのは半年先という状況でした。今はリアルタイムでデータを取得できるため、営業担当からの「今の大阪駅の状況は?」という問いにもスムーズに答えることができます。
さらに、ダッシュボードで過去データと比較できるため、
- 平日・休日の違い
- 季節ごとの変動
- コロナ前後の回復状況
といったデータの可視化が可能になったのも大きな変化です。
これらのデータは弊社にお申込みをいただく広告代理店様への四半期レポートにも活用しており、「大阪駅にはこれだけの人流がある」という形で営業資料にも活用され、提案の説得力向上につながっています。
ー社内での評価はいかがでしょうか?
岡山様:大阪駅での実績が社内で認められた結果、京都プレミアムビジョンのリニューアルの際にも同様にカメラを設置する意思決定につながっています。取り組みの積み重ねがエリア拡大に結びついていると感じています。
今後の展望:人流計測の先にある、新たなAI活用
ー今後期待することや課題感を教えてください。
岡山様:設置拡大のためにはカメラの設置場所・解析端末の置き場所・電源・通信環境の確保がネックになります。これらをワンストップでレンタルできるような仕組みがあると、導入しやすくなるかなと感じています。
ーAIカメラの可能性についてはどのようにお考えですか?
岡山様:AIの可能性は無限だと思っています。特に画像だけでなく映像レベルの解析に期待しています。交通広告業界では、広告効果指標の統一に向けて業界全体で取り組んでいますが、カメラは「現場を最も正確に捉える手段」であることは間違いありません。今後、業界全体としてどのように標準化されていくのかを注視しつつ、活用を広げていきたいと考えています。
ーありがとうございました!