メニュー アイコン
メニュー 閉じるアイコン

AIカメラで80%の省人化に成功!調査業務のDX化に向けたAIの活用

市場調査会社の株式会社サーベイリサーチセンター様は、フィールドリサーチのリーディングカンパニーとして、全国の民間企業から官公庁・自治体まで、あらゆる調査業務のニーズに対応しています。 多岐に渡る調査業務を行う同社がなぜAIカメラ「IDEA」を採用したのか、どのような活用を検討しているのか、調査部に所属するご担当者様にその理由を伺いました。

――はじめに、S様の業務内容を教えてください。

総合調査会社として、世論調査・市場調査・交通調査をはじめとした、あらゆる分野における社会調査の対応をしています。私が所属する調査部は、交通調査に特化しており、まちづくり(都市計画)、道路計画、交通計画といった土木分野の行政計画や、店舗立地・商圏調査など、モビリティ(移動や交通)に関わるあらゆる領域の情報収集・解析を実施しています。

業務の比率で最も多いものは自動車や歩行者の通行台数・人数をカウントする調査や渋滞状況の調査です。それ以外にも、道路交通センサス(※1)、インフラ点検、パーソントリップ調査(※2)やプローブパーソン調査(※3)、駅やバスターミナルなどの交通結節点や高速道路SAなどの休憩施設での調査も対応しています。

※1 国土交通省が主体となって定期的に実施する全国調査
※2 都市における人の移動に着目した調査
※3 人や車などの移動体にGPS搭載の携帯電話等の検出器を取り付け、移動状況を記録する調査

導入前の課題と導入理由:調査員による技量のばらつきを導入で解消、コストも低く実施

――IDEAを2022年9月から導入いただいておりますが、導入のきっかけは何でしたか?

クライアント様からご相談がきっかけでした。将来的には屋外施設の入場者数を常設カメラで取得した映像をもとに常時観測したいというお考えをお持ちで、それに向けた検討として、まずは単日でビデオカメラを仮設したいという案件のご相談内容でした。

常時観測する場合、データ処理の一部をセンサーの比較的近くで行う「エッジ解析」の必要性を感じました。またヒアリングを重ねると、入場者の属性を取得したいというニーズをお持ちであることもわかりました。

そんななか、常設カメラ映像のエッジ解析と仮設カメラ映像のクラウド解析の両方が可能で、実績のあるIntelligence Design社のIDEAを紹介いただき、導入を決めました。

――導入前、どのような課題がありましたか?

人の属性取得に関する様々なソリューションの存在は認識しておりましたし、画像解析に関する実績は弊社にも豊富にありました。ただ、屋外(光学的要件が日々変動する)での実施に耐えること、マスクの着用者を対象にしてもある程度高い精度で属性を取得することの両立は非常に難しいのです。

単日や短期での調査であれば、調査員による人手観測で対応できますが、長期での実施は現実的ではありませんでした。また調査員による技量の差が出てしまうのも課題です。ベテラン調査員なら1名で対応可能な調査業務も、新人ではそういうわけにもいきません。人手観測ではそういった考慮事項を踏まえた上で、調査員の技量のバランスを見て配置する必要がありました。

一方、AIによる機械計測では計測日や時間帯ごとの精度のバラつきは発生しません。人手では困難な長時間の計測も実現可能です。クライアントに提案する際にも、実際の映像データをもとに振り返ることができたり、追加で検証ができたりすることもプラスに働いていますね。

――なぜIDEAを採択いただけたのでしょうか?

一番は導入前に抱えていた課題を解決できると感じたからです。さらに、最初にエッジ解析に関する紹介を担当者から受けており、将来的にエッジ解析をする上で検討がスムーズに進みそうだと感じました。

加えてコスト面における優位性も後押し材料となりました。エッジ解析の場合、通常は長期で機器を常設することになりますが、単日や短期での調査の場合には費用面で折り合いがつかないことが多くあります。今回、クラウドでの解析について提案いただいたことでコストを抑えることができるという点も非常に魅力的でした。

自社・他社含めて、様々なソリューションを活用してきましたが、単純に新しいソリューションを試したかったということも一因ではありますね。

導入にあたり苦労したこと:設置場所の制約と画角調整

――導入決定から稼働までの苦労はありましたか?

あくまで単日や短期での調査であったため、大掛かりな工事を行うわけにはいかず、機器設置用のポール埋没工事や電源敷設工事などができない状況でした。また、人でにぎわう施設での実施であったため、機器の設置可能な場所自体も限られました。そのため、解析に要求される画角を100%満たすことは不可能でしたが、それでも可能な限り精度高く解析ができるよう画角を検討調整するのが大変でした。 ただ、画角さえクリアすることができれば、精度高く解析ができることがわかったので、上記のメリットを踏まえて有用なツールだということがわかっています。そもそも短期間の調査では設置場所や電源問題がネックになっていたので、撮影と解析を分離することができたこともプラスに働いていて、IDEAは使い勝手の良い製品だと感じています。

(提供:サーベイリサーチセンター/映像撮影の様子)

導入後の効果:調査日の人員を80%ほど削減することに成功

――導入後の成果を教えてください。

IDEAを導入した案件においては、同様のことを人手で対応しようとした時と比べ、調査当日の人員を80%ほど削減できました。また、調査員の調整がしやすくなったり、作業の効率化が見込めたりなど副次的な効果もありました。

そもそも調査方法には、現地で人手によるカウントと現地で動画を撮影し、後日調査員が目視でカウントの大きく2パターンが存在します。それぞれどのような形で削減に成功したのかをお伝えします。

まずは、現地で人手によるカウントの削減効果について。例えば、「午前9時から午後5時まで全6箇所」の調査を実施する場合、調査には休憩のための交代要員を考慮すると、各地点に最低2名ずつの配置が必要で、1日あたり約20名の稼働となります。

それがIDEAの場合、今回のケースで言えば、カメラの設置はたった3名で実施、途中の動作確認等のチェックも定期的な巡回のみで対応することができました。調査員の稼働人数が減ることで、単純に人手を集めるハードルが下がったり、急な体調不良等のアサインの問題が起こりづらくなったりと大きなメリットを感じています。また、地方での調査の場合、調査員ごとに出張費が発生するため、人数を減らせることによる費用面でもメリットがあります。

次に、現地で動画を撮影し、後日調査員が目視でカウントする場合と比較しての削減効果について。調査箇所に調査員を派遣し、ビデオカメラで該当の期間の映像を撮影、後日映像データを調査員が目視でカウントする方法です。映像データが残るので、当日の様子が確認できることやカウントミスを防げるメリットがあります。

ただしこの方法だと目視で計測結果を作成するため、一次データが出てくるまでのリードタイムは、どれだけ本件にリソースを割けるかにもよりますが、計測日から数日、場合によっては数週間ほど要します。それが、IDEAは映像データをクラウドにアップロードをすれば自動で計測をしてくれます。また、調査員と違い時間の制約がないので退勤前にアップロードをしておいて、翌朝計測データをダウンロードするなど、時間を効率的に使えるようになったのも大きなポイントですね。

現時点では単日、短期での利用に過ぎないため、費用では大きく改善してはいないのが正直なところです。データ取得期間が短い場合は機器も仮設になりがちですが、その場合、現地管理のコストもそれなりに発生するためトータルでの費用低下には至っていません。ただし、機器を常設し長期で計測する場合、設置工事の費用(いわば初期費用)の問題はありますが、設置後の運用費用含めてコストパフォーマンスは上がってくることは理解しています。

IDEAをおすすめする会社:人流データの商用活用や定常的にデータ取得が必要な場所に需要

――IDEAはどのような会社にオススメですか?

人流データを商用活用するような、定常的にデータ取得が必要な場所に需要があると感じております。機器を常設して上記の解析する場合、コストパフォーマンスが大きく改善するでしょう。

長期でデータを取得したうえで傾向を把握したい場合や、長期でデータ収集を続け事後に分析に用いるデータ解析日を決めたい場合などであれば有用なデータ取得ができると考えています。

――今後、IDEAを通じて挑戦したいことや今後の展望はありますか?

歩行者や来場者のカウント調査、自動車交通量のカウント調査は、単日での実施が業界的には標準となっていました。恐らくこれは人手による計測を前提としていた基準でしょう。

AIを使う以上、長期計測に持っていきたいです。長期でのデータ収集のコストパフォーマンスが改善するのであれば、現在単日で実施している調査も、長期実施の方向に進む可能性があり、デファクトスタンダード自体が変わっていくことも考えられます。

根底となる対象の検出精度の向上を期待したいです。単純な断面による通過人数の計測だけではなく、同一対象の動きを断面間でマッチングさせたり、交差点における右左折直進含めた、方向別での計測などができると、面白い分析に繋がると考えています。

今後より正確な調査を実施するためにも、Intelligence Design社と協力し、一緒にトライしていきたいと考えています。

――ありがとうございました!

< 概要>
会社名:株式会社サーベイリサーチセンター
代表者:藤澤 士朗
事業内容:総合調査業
設立:1975年2月
本社:東京都荒川区西日暮里2-40-10
URL:https://www.surece.co.jp/

IDEA(イデア) > 導入事例 > その他 > AIカメラで80%の省人化に成功!調査業務のDX化に向けたAIの活用